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東京競売ウォッチ

2021年4月20日

第549回 室内状況不明マンションが一番人気!!

 競売マンションでは室内の状況や間取りは執行官の現況調査にて把握される。ただ中には占有者の入室拒否でまれに室内に立ち入れず部屋の間取りなど把握できないこともある。また最近では玄関鍵が電子キーなどで解錠技術者が開けられず室内に入れないケースも見られる。

 しかし4月8日開札のマンションは室内に入れはしたものの動産(残置物)の量が多く内部をほとんど調査できていない。間取りも確認できず分譲時パンフレットの図面集のものを現況調査報告書に添付している。そのマンションは都営新宿線「菊川」駅徒歩約9分に立地する築7年で専有面積約16.5坪の1LDK+サービスルームの部屋であった。

 このマンションの売却基準価額は2080万円であったが、これに対し入札は42本あり、最高価3880万円強にて再販業者と思しき会社が競落していった。これはこの日の一番人気であった。最近の同様の築年、立地、広さのマンション相場は成約事例からを見ると、坪単価が280万円、価格4600万円と程度考えられる。

 競落価格からすると再販利益が見込めるとは思うが、残置物処理のコストはもちろんであるが、それ以上に設備等の改修などのコストも相当程度かかるだろう。このようにコストが読めない要素があるが、それでも大量入札があるところを考えると販売物件不足の市況であると考えられる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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