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東京競売ウォッチ

2018年6月19日

第418回 タワーより郊外型マンション?

 6月7日開札の一番人気は江東区のマンションであった。都営新宿線「大島」駅徒歩約5分に立地するこのマンションは、築約23年経過する鉄筋コンクリ―ト造5階建、総戸数45戸の5階部分の3LDKである。専有面積は23坪強ある。所有者が空き家状態で専有するこの部屋は滞納管理費が約35万円ある。この条件で売却基準価額が2383万円であったが、これに対し35本の入札があり、最高価4802万円にて再販業者と思われる会社が落札している。売却基準価額に対する上乗せ率は100%を超えている。

 これに対し同じ日に湾岸エリアのタワーマンション(33階建)の部屋が対象になった。その物件はゆりかもめ線「有明けテニスの森」駅徒歩約6分に立地し、築10年ほどの専有面積12坪強の1LDKで、売却基準価額が2480万円である。ちなみにこの部屋は所有者が占有していて、滞納管理費はほとんど無いとの記録である。結果、入札本数は14本であり、最高価は3240万円と、売却基準価額は約30%であった。

 この2つの競落事例を見るとタワーマンションの人気を入札本数、上乗せ率共に城東地域マンションが上回る格好になっている。一般市場においても新築の高額タワーマンションが販売苦戦をしている中、郊外中古マンションが物件により人気が高い状況と聞くが、それに符合する結果とも考えられよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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