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東京競売ウォッチ

2019年12月24日

第492回 浸水懸念地域でも多数入札!!

 2019年は台風の被害が大きかった年として記憶されそうであるが、気候温暖化が進む状況では来年もまた同様な台風被害が起こっても不思議では無い。そんな中で浸水ハザードマップへの注目度が高くなっている。

 12月5日開札では浸水ハザードマップにおいて荒川の氾濫があった場合において高さ3~5mの浸水が想定される地域の物件が対象になった。その物件は都営新宿線「瑞江」駅徒歩約6分に位置している。土地は北西側で幅員4mの公道に面した約14坪で、この上に築29年を経過した鉄骨造3階建ての共同住宅(延床面積約29坪)が建っている。1階から3階まで各階が1Kの間取りで3部屋になっているが、建ぺい率超過のようだ。

 この造りであると荒川氾濫時には1階住戸は逃げ場を失う危険がある。そんな物件であるが売却基準価額1457万円に対し入札17本が入り、最高価2200万円で個人が落札した。この物件の評価書を見ると特段浸水危険度については配慮されていない。

 しかし落札価格では1戸当たり5万円の収入として年8%程度の利回りは期待できるので個人投資家の目を引いたのであろう。同じくこの日江戸川区内で浸水危険度がある1戸建が開札対象になったが、売却基準価額1667万円に対し14本の入札が集まり最高価2288万円にて不動産会社と思われる会社が落札していった。浸水危険度は入札者側もまだ斟酌していない感じである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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