リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2025年11月04日

第766回 ワンルームマンション上乗せ率上昇

 都心の中古マンション価格の上昇が続いている。その中でもファミリーマンションにおいて顕著であった。その中にあってワンルームマンションについてはファミリーマンションに比較し値上がり率は高くなかった。それは収益目的で、住宅ローンの使用ができないということなどが要因であった。しかし、最近では好立地のワンルームマンションも人気が出てき始めている。

 10月22日開札では19本の入札を集め一番人気であったのが、品川区のワンルームマンションであった。このマンションは東急池上線「大崎広小路」駅徒歩約4分に立地する専有面積6坪強の部屋である。築17年のこの物件の売却基準価額は1671万円であったが、競落価格は2760万円と、売却基準価額に対し65%強の上乗せでの競落であった。

 この物件は賃借人が月額98000円で居住していて、オーナー負担の管理費等が月額9800円であり、固定資産税等が年間約48000円であることで年収益約101万円である。従って競落価格に対し年利回りは3.6%強となる。競落したのは再販業者と見られるので再販時には年利回り3~3.5%くらいの価格設定になると見られる。

 またこの賃借人の賃借権は競落者には対抗できず、明渡の6か月猶予対象である。従って競落者は値上げ賃料を呈示し、現賃借人が承服しなければ、明渡を要求し、より高い賃料の新賃借人を付けて利回りアップを狙うかもしれない。株価の上昇で得られたキャピタルゲインの投資先を不動産に振り向けるとなると、こういった好立地ワンルームマンションは格好の投資先かもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.