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東京競売ウォッチ

2013年5月21日

第181回 築浅のワンルームが人気

 活況の競売市場であるが、その中でも築浅のワンルームマンションに対する競落水準が高いのが目につく。

 4月25日開札で、JR中央線「高円寺」駅徒歩約5分に立地するワンルームマンションは、売却基準価額740万円に対し、入札33本が集まり、その1.8倍強の1,350万円強で、競落されていった。

 築約8年のこの物件は現在月額8.2万円にて賃貸されている。管理費、修繕積立金や固定資産税、都市計画税を差し引いた実質年収は約81.6万円であることから、競落価格をベースとした場合、約6%の利回りとなる。

 ちなみに、この物件の競落者はワンルーム販売会社である。ということは、投資家に対し、諸経費とマージンを上乗せして販売することになる。最終的に投資家に販売される価格は利回り年5%以下の水準に設定されることになるだろう。年5%以下と言うのは、将来の空室リスクなどを考えると、低い水準に思える。

 しかし、それでも買い手が付くのは、築浅物件には購入資金に対するローンが、金融緩和の環境のため低利率で使用できるからであろう。ワンルーム販売会社は、購入ローンとセットで、まさに金融商品として売っているのである。

 金利が低い水準が続くのであれば、築浅ワンルームマンションの競落水準は上がることがあったとしても決して下がらないだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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