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東京競売ウォッチ

2025年04月08日

第739回 千歳烏山徒歩10分住宅地、坪220万円超落札

 令和7年1月の公示地価の発表では、都内は商業地のみならず住宅地も価格の上昇が見られた。

 3月12日に開札対象となった中に京王線「千歳烏山」駅徒歩約10分に立地する約37坪の更地があった。更地が対象になることは珍しいが、この対象土地の競売申立権者はスルガ銀行である。取得にあたり約9年前に3回に亘り計1億900万円の融資を行っている。どうやら、取得後共同住宅でも建設し、収益物件にしようとしたと見える。しかし、その計画はとん挫し購入後建物建設はされず、融資が返済不能となっての競売のようである。またこの融資が行われたのは、あの「かぼちゃの馬車」事件が明るみに出てきた時期に重なることから、シェアハウスなどの計画がなされていたのかもしれない。

 この土地の売却基準価額は4671万円であったが、これに対し32本のこの日最高の入札が集まり、最高価8408万円にて競落されていった。この結果からみて先の融資金は土地代に対してだけではなく、建物建設代金の一部も含まれていたように思う。

 競落水準は1坪217万円強であるが、接面道路(南西側幅員約3.7mの区道の2項道路)の関係でセットバックが生じることから実質では220万円強と見られる。これは路線価(約126万円/坪)の1.74倍に相当する。ちなみに現在近隣ではこの土地より接道条件が良い土地が1坪約240万円で売却中になっている。それを考えると競落価格に割安感をあまり感じないが、そもそも売り土地の希少性が高い地域でもあるからか、多くの入札を集め、高い競落価格となったのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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