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東京競売ウォッチ

2014年3月11日

第221回 旧耐震のマンションは立地で差

 マンション入札にあたり、やはり気になるのが、建設年月日である。新耐震基準での建設か、またはそれ以前かにより、入札価格設定は大きな影響を受ける。しかし、築年が古い旧耐震構造マンションは、その立地などによって落札水準に大きな違いが生ずる。

 2月13日開札で、旧耐震構造である昭和53年建築の専有面積約16坪、1LDKのマンションが、売却基準価額の2倍超で落札された。

 その物件は東横線・日比谷線「中目黒」駅から徒歩10分に立地する。売却基準価額1401万円に対し、入札53本が入り、最高価3,377万円にて再販業者と思われる会社が落札していった。

 このマンション、市場に出ている別の部屋の価格付けを見ると専有面積坪単価200万円程度である。競落価格は市場価格と同じ水準に思えるが、競落会社は、物件の立地の良さから、内装などの付加価値で、より高い再販価格が設定できると読んだのだろう。

 一方で同じ日、売却基準価額を下回って競落された旧耐震構造のマンションもあった。その物件は、東武伊勢崎線「竹ノ塚」駅徒歩約16分に立地する昭和46年3月築のマンションである。

 専有面積は約13坪、間取りが2DKで、売却基準価額は461万円である。滞納管理費等は10万円にも満たないので、専有面積坪単価が36万円程度の売却基準価額である。

 しかし、入札は2本にとどまり、競落価格は377万円と、買受可能価額(368.8万円)をやや上回る水準であった。

 こちらの方は一般市場を見てみると、築年等同程度の物件が専有面積坪単価50万円程度は売却価格として付けられている。

 それでも競落価格は専有面積坪単価30万円に満たない。立地等の魅力により大きな違いが生じるのがわかる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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