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東京競売ウォッチ

2010年2月8日

第28回 浅草の土地付建物に44入札

 このところ競売市場をリードしているのはマンションであるが、1月28日開札においては久々に土地付建物が一番人気になった。

 それは地下鉄銀座線「浅草」駅至近に立地する店舗・事務所兼居宅である。土地は南東側で幅員約6mに面した34坪弱、建物は築19年の鉄骨造5階建で、延床面積112坪強ある。

 1~3階は飲食店に一括賃貸され、それは最先の賃借権であるので、買受人に引き受けの義務がある。賃貸条件は月額賃料120万円、預け入れ敷金額が5,133万円強となっている。敷金は賃料の3年分以上であるが、裁判所はこの額を認め、その分につき差し引き評価を行っている。

 4階、5階は所有者関係者が使用しており、引渡命令対象と見られる。

 このビル全体で見込まれる収益は年1,900万円強であろうかと思われるが、この物件の売却基準価額は3,606万円で、これでは表面利回り50%を超えることになる。承継敷金(3,133万円強)を考慮しても、年20%超となる。

 こんな魅力的な条件であったことからか、入札は44本集まり、最高価1億2,100万円と、売却基準価額の3倍を優に超える水準で競落されていった。それでも(敷金承継額を考慮後)表面利回り11%は見込まれる。

 最近、一般市場で、おおよそ3億円未満の1棟利回り物件は人気があり、市場に出ると売却されるのが大変速いと、よく耳にするが、そういった市況を反映した落札結果であったと言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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