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東京競売ウォッチ

2022年8月23日

第614回 オーナーチェンジマンション年4%が競落目線か

 東京23区内の賃貸マンションの株式会社タスによる空室率調査(2022年7月29日)によると、1Rマンションの空室率は10.69%と高い水準にある。コロナ禍をきっかけとしたテレワークや在宅勤務が定着化する中で、空室が多く生じている。相続対策などで建築される一棟物の1R主体の賃貸マンションが増加し、供給が増加していることもあるように思う。一方で3LDKの間取りについては逆に空室率が低下している傾向があり、同調査で直近2.89%と1Rの3分の1以下である。間取りによる空室率の違いが鮮明になってきている。この間にあるのが1LDKの間取りで同じ調査で直近5.71%とある。これは現状のオフィスビルの水準に近いように思う。現状のマーケットでは1Rと1LDK の少しの相違ながら大きく空室率が異なっている。

 そんな中7月21日開札では都営新宿線「両国」駅徒歩約6分に立地する専有面積約12.3坪の1LDKのマンションが最先の賃借権付であった。築13年のこのマンションの賃料は月額14.5万円で管理費等や固定資産税等を差し引いた年実質収入は約151万円である。これに対し売却基準価額は2424万円であったが、結果入札は14本あり、最高価3621万円にて競落されていった。競落価格に登録免許税、不動産取得税を加えた総取得コストは約3680万円になると思われ、総取得費用に対する年利回りは年約4.1%である。立地、築年による相違はある中で、おそらくはこの年4%くらいが賃借権付マンションの競落目線ではないだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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