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東京競売ウォッチ

2021年7月27日

第562回 鉄骨造マンションに入札1本!!

 マンションの構造は一般的には鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート造である。建物評価する場合の耐用年数も47年を基準に考え保守管理状態適宜残存価値を導く。ただし構造が鉄骨造であると、例えば金融機関から融資を受ける場合には融資期間が短くなる。古い物件になれば融資自体が難しくなることがある。

 7月7日開札では東急田園都市線「用賀」駅徒歩約15分に立地する鉄骨造の築43年のマンションの1室が競売対象になった。専有面積は約14坪で間取りは2DKである。また占有者はいないようだが、サブリース会社の賃借権があり、最先の賃借権として承継しなければならない。そんな条件で売却基準価額が1083万円であったが、これに対し入札は1本に止まり、競落価格は1,671万円であった。

 売却可能価額は866.4万円であるのでかなり大きな上乗せで競落したことになる。高い上乗せの競落であるところへもう一つの問題は先に記載した最先の賃借権がサブリース会社により設定されていることだ。現行の月額賃料は1万円と低いが今年9月27日からは転貸賃料の85%との取り決めになっているものの再販するとすれば空室にしたい。

 オーナーチェンジ物件としての再販は鉄骨造でもあり、かなり難しいだろう。構造のハンデと占有問題をどうクリアするか競落会社は知恵を絞ることになりそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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