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東京競売ウォッチ

2015年6月9日

第279回 本駒込のマンションに入札58本

 不動産市場は品薄感が強いようだ。買取業者が買い取れる住戸も不足しているようだ。それを反映してか、5月21日開札では、58本もの入札があったマンションが1番人気になった。

 その物件は東京メトロ南北線「本駒込」駅徒歩約2分に立地する築19年で、専有面積約17坪の2LDKである。立地良く、築年もまずまず新しい。また所有者居住なので、早期再販も可能とあって大量入札を呼んだようだ。競落価格は3,667万円弱で、売却基準価額2,216万円に対し66%強もの上乗せ率である。

 ちなみに、本物件の最寄駅徒歩5分圏内で、築20年内の2LDKは5,000万円前後のものがレインズ上にはある。これを見ると、先の競落物件が4,500万円以上で売却される可能性も十分にありそうである。とすれば、滞納管理費(30万円強)や、登録免許税・不動産取得税、そして内装コストを考慮しても、粗利10%以上は確保できそうだ。市場動向から逆算された入札価格として、先の落札価格は不思議ではないようだ。

 そんな中、築年の古い旧耐震マンションはどうかと言えば、やはり入札の勢いは平均的には劣るが、この日は昭和46年築と古いマンション(杉並区方南町)に、37本もの入札があった。専有面積が13坪強で、基準価額370万円と、安かったからであろうが、競落価格は何とその5倍超の1,870万円弱であったのには驚かされた。立地が優るマンションは築年関係なしに入札を呼ぶのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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