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東京競売ウォッチ

2010年4月12日

第37回中古マンションへ大量入札

 新築分譲マンションで交通至便な23区内のファミリータイプは、販売価格グロスが平均5,000万円以上となっているという。マンションデベロッパーが淘汰され、大手主導で新築マンションが供給されるようになるとともに、都心回帰、高グレードの富裕者層を念頭に置いた商品企画が主流になったことが原因であろう。

 そんな事情から一次取得者向けマンションの供給が細っているところで、その需要を補っているのが中古マンションである。中古マンション流通は勢い活発化し、それが背景となって、競売でも低グロスファミリーマンションへの大量入札が起こっている。

 3月25日開札での一番人気も京浜東北線「東十条」駅徒歩8分に立地する築13年のマンションで、対象住戸は専有面積約20坪、3LDKであった。売却基準価額1,681万円のところ44本の入札があり、最高価2,852万円にて再販業者が落札していった。

 一方、同じ日2番人気となった物件は、小田急小田原線「千歳船橋」駅徒歩11分に立地する一戸建てであった。土地は南側で幅員4mの公道に面する約78坪で、建物は評価できない古家が建っている。この土地の特徴は接面道路間口が20mを超え、2区画分割が容易な地形をしていることにある。

 そんなことから再販業者の注目を集めたのか、売却基準価額6,435万円に対し、入札42本が入り、最高価は売却基準価額の2倍を超える1億4,150万円にて落札されていった。

 この落札水準は路線価(1坪約120万円)の1.5倍の1坪180万円ほどに相当する。リーマンショック以前の水準とはいかないにしても、住宅地についての業者の仕入れ意欲も回復傾向にあるようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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