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東京競売ウォッチ

2010年3月22日

第34回 人気格差大きいワンルーム

 このところの入札人気を牽引しているのは低グロス、築浅ファミリーマンションであるが、3月9日の一番人気はワンルームマンションであった。

 その物件は東西線「神楽坂」駅徒歩3分に立地する築10年弱で、専有面積約6・2坪の部屋である。この物件は月額8万2500円で賃貸されており、占有者には(買受人の代金納付日から)6カ月の明渡し猶予の権利がある。

 また、この物件の管理費等は月額6500円であり、滞納管理費はない。固定資産税等が年約4・2万円であるので、現占有者にそのまま賃貸すれば、実質収入は年87万円である。

 この条件で売却基準価額は636万円であったが、これに対し入札42本が集まり、最高価1311万円にて落札されていった。これはネット利回り年約6・6%水準である。しかし、ワンルームタイプのマンションはファミリータイプと違って、立地による人気格差が大きい。

 例えばこの日、先の神楽坂の物件より新しい築3年弱で、広さ・設備がほぼ同じのワンルームマンションが開札になったが、入札本数はわずか2本に止まった。その立地は東武亀戸線「小村井」駅徒歩5分であった。この物件の現在の占有者が賃料として支払っている金額は月額7万7500円であるので、保有経費を控除した実質手取りは年額80万円ほどであろう。

 結局、この物件の競落価格は約950万円であったが、これは年利回り約8・5%水準で、先の神楽坂の物件より2%程度高い。ただ、立地による人気格差はその利回りの違い以上に感じる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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