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2013年4月16日

第177回 注目の朝鮮総連本部

 3月26日は注目の物件の開札があった。それは、朝鮮総連本部(千代田区富士見)である。

 新聞報道などにもあるとおり、この日、売却基準価額26億6,826万円に対し、鹿児島市の宗教法人最福寺が45億1,900万円にて落札した。この寺は北朝鮮に関係がある宗教法人と目されている。

 この物件、占有者は債務者と同一と看做されており、買受人に対抗できない。従って朝鮮総連に対し、引渡命令が発令される。

 はっきりとしたことは不明のようだが、当該宗教法人が、朝鮮総連の明け渡しを防ぐために入札をした可能性が高い。

 しかし、筆者は、この宗教法人以外に3本の入札があったことにむしろ興味を引かれた。

 この物件、20億円を優に超える投下資金になるものの、落札後、占有を解除するには、引渡命令が発令されるとしても、政治的な問題もからみ、難しい局面も考えられる。そんな物件であっても、得難い立地ということで、入札があったということは、やはりアベノミクスにより、資産インフレが起こってきていることの証左ではないだろうか。

 この日は港区六本木の一戸建てが接道する道路が私道の2項道路という、決して良い接道条件でなはないにも係わらず、売却基準価額1億500万円強に対し、その2倍近い2億700万円強で競落された例もあった。業者の強気な入札が本格化してきたようだ

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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