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東京競売ウォッチ

2014年6月17日

第234回 利回り高い区分所有店舗

 収益不動産の中でも特殊なのが、区分所有店舗である。最近アジア系外国人投資家が区分所有店舗への投資を数多く行っているとの話を聞くことがある。

 確かに繁華性のある立地にある店舗(特に路面店舗)は、住宅や事務所に比してテナントが付きやすく、賃料の坪単価が高いケースが多い。しかし、国内では、銀行など金融機関が区分所有店舗に対する担保評価は低目に見る傾向がある。そのため、区分所有店舗は、現金投資の割合が高く、利回りは相対的に高い。

 5月29日の開札で今年1番の入札本数を集めたのが、この区分所有店舗であった。物件は千代田線「赤坂」駅徒歩約2分で、赤坂通りに面する、専有面積わずか3坪弱のお店である。

 かなりの狭小店舗ながら、赤坂通りの路面店舗ということから、現在のテナントの賃料は月額17万円で、専有面積坪単価約8万円という高額である。

 この物件の売却基準価額は362万円であったが、これに対し、入札70本が集まり、売却基準価額の4倍を超える1,555万円にて落札されていった。

 管理費や固定資産税等を考慮したこの物件の実質年収は約180万円である。一方、この物件には現テナントの承継敷金(現テナントは抵当権設定登記前の賃借開始しているため承継必要)170万円、滞納管理費等約110万円があるため、総取得コストは約1,830万円であろう。

 競落者は実質年10%を目安に入札価格を設定したものと考えられる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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