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東京競売ウォッチ

2013年10月8日

第200回 前所有者が自殺したマンション

 中古マンションへの入札はますます積極的になってきたが、その中で、今年になって2回の入札を行い、ようやく落札されたマンションがある。9月19日開札で落札された葛飾区のマンションは、今年5月30日に開札されたが、その時は落札されなかった。

 そのマンションはJR常磐線「金町」駅からバスで10分超の立地にある、専有面積約16坪の2DKのマンションである。築25年と、やや古いが、マンションとしては新耐震基準であるし、決して築古ではない。それが今回、入札2本で、売却基準価額378万円を少し下回る最高価350万円強で落札されていった。滞納管理費が50万円程度はあるが、それを考慮しても、専有面積1坪あたり25万円という低額である。

 こういった低い落札水準となった主たる原因は、前所有者の自殺にあると思われる。先の5月での開札時には、売却基準価額は473万円であったが、この金額は物件内で自殺があったことによる減価が30%なされていたが、入札はなかった。

 今回の売却基準価額は前回より20%低い、つまり前回の買受可能価額に設定され、結果的にこれをやや下回る価格で落札されていった。

 ちなみに、この物件内の自殺は前回の競売における現況調査(平成24年7月下旬)が行われるわずか数週間前の出来事である。事故物件も、やはり事故からの時間の経過が価格等に少なからず影響しているようにも思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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