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東京競売ウォッチ

2011年11月8日

第113回 高グロスの一戸建て

 低グロスのファミリーマンションに入札が多く集まる傾向の中、10月18日開札の1番人気は高グロスの一戸建てであった。

 その物件は、東京メトロ副都心線「北参道」駅徒歩約3分(JR総武中央線「千駄ヶ谷」駅徒歩約8分)に立地する。土地は南西側で幅員約5.4m、北西側で約3.5mの各公道に面する角地で、広さは50坪強ある。建物は築50年を超える古家で、延床面積約37坪あるが、事実上評価はできない。

 この物件の売却基準価額は1億1,243万円で、これに対し入札33本が集まり、最高価1億4,892万円強にて落札されていった。売却基準価額に対し、約32%の上乗せであり、路線価(1坪約244万円)に対しては約21%高い水準である。

 この土地、容積率が実効160%あることから、分割前提の建売用地として戸建業者が多く入札したように思われる。

 また、この日、JR山手線「神田」駅徒歩約5分に立地する、築27年の鉄筋コンクリート造4階建ての物件に25本の入札が集まった。土地約26坪、建物は延床面積約71坪の事務所兼住居であるが、競落したのは個人で、競落価格は売却基準価額2,894万円の2倍を超える6,077万円であった。またこの物件については、次順位入札者も個人であり、個人の投資意欲堅調ぶりが感じられた。

 ところで、このところ対象物件数がかなり減少している。このペースだと昨年1年間の対象物件数(約2,200物件)を2割近く下回りそうである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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