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2015年6月16日

第280回 方南町の旧耐震マンション

 中古マンションの販売は好調を維持しているようだが、旧耐震基準の物件はどうなのだろうか。旧耐震物件は、物件ごとの管理状況などによって売れ方に差が生じているようだ。

 5月21日開札で、東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅徒歩約9分に立地する昭和46年3月築の旧耐震基準マンションが開札となった。

 専有面積は約14.5坪で、間取りは2LDKの部屋である。売却基準価額は370万円と、専有面積坪単価は30万円以下とかなり安い水準であったが、これに対し入札は37本集まり、最高価は1,867万円にて落札されていった。売却基準価額の実に5倍を上回った競落である。

 さらに、この部屋には滞納管理費が95万円ほどある。競落したのは再販業者と思われるが、競落コストから推して、再販価格は2,400~2,500万円にはなるだろう。これは専有面積坪単価で170万円前後になる。この同じマンションの別の部屋が昨年7月に専有面積坪単価140万円弱で成約していることから考えると、かなり強気の再販価格設定になるように思う。しかし、管理状況などから現在の市況であれば可能な再販価格設定なのであろう。

 一方、同じ日の開札でJR山手線「池袋」駅徒歩約8分に立地する昭和47年10月竣工の旧耐震基準マンションが対象になった。専有面積約9坪で2Kの間取りのこの物件の売却基準価額は459万円であった。これに対し入札本数は8本に止まり、競落価格は801万円であった。競落の専有面積坪単価は約90万円で、滞納管理費を考慮しても100万円に届かない。

 この物件は敷地権利が地上権であるということ、また専有面積が小さいという各マイナス面は確かにある。しかし、先の方南町のマンションとの人気の差は、やはりマンション全体の管理状況などにあると思われる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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