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東京競売ウォッチ

2026年06月02日

第793回 曖昧な権利関係土地を債権者自己競落

 競売物件では特殊な権利関係のものが散見される。その中でも土地に対する利用権に関しては、その解釈によって大きく評価が異なる。5月20日開札では中央線「高円寺」駅徒歩8分に所在する土地が開札対象になった。この土地には土地所有者ではない第三者の所有権名義の建物が存する。

 問題はこの建物の敷地利用権である。土地所有者が代表を務める法人名にて建物所有者に賃貸している形ではあるが、そもそも土地所有者と貸主である法人との契約関係は不明である。現況調査報告書では使用借権と捉えているので、そうであれば競落人には対抗できない権利であり、建物収去・土地明渡が求められると思われる。

 しかし、評価書ではこの建物に借地権が付いているものとして評価されている。従ってこの土地はいわゆる借地権が設定されている底地として評価された。底地であるのでこの立地で約28坪の広さで1062万円という売却基準価額であった。その低い価額ゆえに31本もの入札を集めた。入札者の多くは競落後に借地権を無いものとして建物所有者と折衝する考えだったと思う。

 しかし、展開によっては借地権が認定される恐れもあり、入札価格はそのリスクを控除したと考えられる。そんな中、債権者から債権の譲渡を受けたサービサー会社の関係会社が4200万円で落札した。おそらくは内部事情を把握していると思われ、大幅な上乗せ率で競落していった。債権者自己競落には一般の入札者は勝てないようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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