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東京競売ウォッチ

2022年4月12日

第597回 不燃公社が競売参加!!

 東京では多くの再開発計画があり、進んでいる地域も多い。また再開発を誘導する容積率の緩和などの地区計画の決定もなされている。3月23日開札対象の京急本線「京急蒲田」駅徒歩約3分に立地するマンションも京急蒲田駅西口地区の地区計画内である。このマンションは築約44年を経過する6階建てで総戸数14戸の小さな物件で、対象の部屋は専有面積約7.5坪の1LDKである。所有者が他界し、相続人が無くその間管理費等の滞納が続き滞納管理費等やその遅延損害金、弁護士費用など合計で930万円程度が競落者の負担となる。評価書では物件の評価額より、この負担金の方が大きいことから、土地分1万円、建物分1万円の合計2万円を売却基準価額としている。

 さて開札結果は入札15本が集まり、最高価340万円にて競落されていった。そしてその競落者が一般財団法人首都圏不燃公社であった。おそらくこの競落は今後進む地区計画、その後の再開発に向けて先行して不燃公社が購入したものと考えられる。そしてこの競落からこのマンションの他の部屋についても不燃公社が買い取っていることが推察される。先の競落物件は取得しようにも所有者が亡くなり、且つ相続人不在であることで、競売による取得になったのだろう。管理組合が区分所有法59条に基づく競売申立てをするにあたっては不燃公社と協議をあらかじめしていたように思う。再開発にも競売が利用されるケースがあるのである

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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