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東京競売ウォッチ

2023年09月12日

第665回 火災発生マンションが人気

 競売物件の中には事故物件がある。事故物件のうち、建物内の火災発生というのもあり、その場合、多くは火災現場が修復されずそのまま競売に付されることになる。

 8月30日開札ではJR総武線「亀戸」駅徒歩約3分に立地する築20年の専有面積約22.4坪の3LDKの部屋が対象になったが、この部屋が火災現場であった。昨年の10月あたりにその火災は発生し、部屋内の一部が燃えてそのままの状態になっている。(現場は動産を残されたまま空室とある。)また燃えなかった部分も煤に覆われるなどして、全面的な改装工事を施さなければ使用ができない状況とのことである。この物件の売却基準価額は2,681万円であったが、この売却基準価額は先の火災による損傷を考慮して決定されている。そしてその損傷による減価は10%で額にして270万円程度となっていた。ただ実際には全面改装となれば、少なくともその倍以上の額は必要であろう。そんな内容であったが、入札はこの日最高の24本が集まり、最高価5,411万円にて再販業者に競落されていった。大手デベロッパーの分譲物件でもあり、火災現場であっても多くの入札を集めたようだ。

 ただこういった物件の競落後の再販にあたっては、重要事項説明において火災の事実は告知せねばならないと思われる。火災の当時の状況は消防署において聴取することになろう。(ただ情報を公開するかどうかは不明)いずれにしろ再販にあたっての購入者へは消防署、周囲からの情報をそのまま伝えることになるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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