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東京競売ウォッチ

2013年4月9日

第176回 戸建ても強気の入札価格

 先週の本欄で、中古マンションの落札価格の売却基準価額に対する上乗せ率が高まっている旨を記載させていただいた。ではマンションのほか、開札物件全体としては、どのような状況なのであろうか。


 そこで、今年に入って計5回の開札があったが、その種類別及び全体の平均当該上乗せ率を示し、昨年との対比をしたのが別表である。これを見ると、やはりマンションの上乗せ率の上昇が目立ち、土地付建物(戸建て等)は昨年並みになっている。しかし、ここへきて戸建てに対しても高い水準の落札が出現し始めている。例えば3月5日開札39本の大量入札を集めた戸建てでは、上乗せ率は約77%であった。

 その物件は、東横線「都立大学」駅徒歩約10分に立地し、土地は北側で幅員6m強の公道に面する約19.4坪。建物は築10年強の木造(一部鉄筋コンクリート造)3階建てで、延床面積は31坪弱である。

 この物件の売却基準価額は3,216万円であったが、これに対する落札価格は5,689万円であった。

 ちなみに、この物件の評価書を見ると、その中では約4,600万円が通常評価額となっていた。競落価格はこの通常価格に対し、2割以上高い水準である。

 戸建ても強気の入札価格を設定しないと容易に落札できなくなってきていると言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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