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東京競売ウォッチ

2016年12月20日

第351回 京成小岩の店舗兼住宅に入札50本

 住宅の空室率上昇が良く話題になる昨今である。今後の不動産賃貸経営については、まずは利便性の高い立地であるこがより重視されてくるだろう。11月22日開札では、入札50本という人気物件が登場した。その物件は京成本線「京成小岩」駅徒歩約2分に立地する商業地とその上に建つ店舗兼住宅である。

 この物件が北側で接する幅員10mの公道には商店が並ぶ。土地はほぼ整形の約35坪で、その上に鉄骨造2階建て、延床面積約33坪の1階店舗、2階住居の建物が建つ。1階店舗で所有者が飲食店を営み、2階を住まいとしているようだ。建物は築37年であるので、旧耐震構造であり、残存価値はわずかである(評価書では140万円強)。

 この物件は所有者使用、居住のため、引渡命令対象であり、明渡も早期を期待できる。それもあって土地を取得するもくろみでの入札が大量にあったようだ。

 この物件の売却基準価額は2,672万円であったが、最高価は6,514万円弱と、その2.6倍超という高上乗せ率での落札であった。ちなみに、この物件の正面路線価は1坪100万円弱である。これに対し競落価格は1坪186万円強であるので、路線価の約1.9倍となる。駅近の希少土地とは言え、かなりの高水準競落と思えた。しかし、競落者が個人であったことから、競売ではあるが、エンドユーザー価格に近い水準での売却となったと思われる。

 希少土地には大量入札あり、である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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