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東京競売ウォッチ

2015年7月21日

第285回 競売対象の共有持分

 競売不動産の中には、共有不動産の共有持分が対象になる場合がある。これは仮に競落しても、その持分を共有の相手方に売却するか、相手方の共有持分を購入して完全所有権に仕上げるなどの方法を要する。もし、この相手方との協議がまとまらなければ、共有物分割訴訟を提起し、全体を換価競売し、資金を回収する。

 ややこしい競売不動産ではあるが、競落競争が激化する中で、このところ入札も結構ある。しかし、昨年12月に開札対象になったのに応札がなかった共有持分があった。それは借地権付建物のものであった。地主は神社であるが、共有持分の競落であっても、その借地権についての譲渡承諾を必要とする。そして譲渡承諾を得た後、共有の相手方との売買交渉になるが、この場合も地主である神社の譲渡承諾が絡んでくる。

 かなりややこしい取り組みになると想定され、期間入札では応札がなく、特別売却となり、そこで入札があったものの、代金納付がなかったようだ。というのも、売却基準価額が不変で6月18日、再入札になっているからである。

 この再入札になったのは、京成本線「堀切菖蒲園」駅徒歩約5分に立地する借地権付建物(築55年の木造2階建て、延床面積約22坪)の共有持分6分の1で、売却基準価額は63万円であった。

 今般は前回と相違して3本の入札があり、結果は最高価70万円で、共有の相手方が競落していった。

 この共有の相手方は競売対象の共有持分を持つ者の母親であり、この建物に実際住んでいる。競争の激しい競売市場であるので、第三者の応札もあったが、結果としては一番良い競落者であったように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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