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東京競売ウォッチ

2010年12月13日

第70回物件格差あるマンション

 一般市場において、中古マンションの販売状況が良いというのは良く聞くところである。全てのマンションにおいてということでもないようである。

 11月25日開札でマンションにおいて、1番入札を集めたのは、東武大師線「大師」駅徒歩約13分に立地する専有面積約22坪で、4LDKの部屋であった。築13年を経過したこの物件の売却基準価額は1,127万円であった。これに対し、入札は29本入り、落札価格2,235万円と、売却基準価額に対する上乗せ率100%近い水準で売却されていった。滞納管理費が70万円を超えているにもかかわらず、この高い上乗せ率である。

 一方で、同じ日東京モノレール「天王洲アイル」駅徒歩約5分に立地する築5年の「ワールドシティタワーズ」の専有面積約26坪、2LDKのマンションが開札となったが、これについては売却基準価額4,733万円に対し、入札14本で落札価格が6,820万円であった。売却基準価額に対する上乗せ率は44%程度である。

 都心ベイサイドのタワーマンションより、足立区の足回りが決して良くないマンションの方に人気が集まるという結果は、今の市況を表しているようにも思う。現在の中古マンション市況の好調さは、低グロス帯に特に顕著であって、高グロス物件は動きが鈍い物件もあるようだ。

 現に先の「ワールドシティスクエア」については、現在中古の売り出し物件がかなりの量出回っている。リーマンショック前の東京ミニバブル時に半分投資目的で購入されたものが、売りに出ているということもあるようだ。

 このところの落札マンションの売却基準価額への平均上乗せ率は60%を超えているが、物件による格差があるので、入札時には注意したい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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