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東京競売ウォッチ

2014年4月15日

第226回 築浅ワンルームの高い競落水準

 3月24日、朝鮮総連本部が占有している千代田区のビルの競売に対する高松の競落会社への売却許可決定がなされた。朝鮮総連側は執行抗告の方針であるとのことで、東京高裁の判断が今後注目される。

 さて、東京地裁の競落は相変わらず活発で、3月25日開札も13日に引き続き100%落札、完売の結果であった。

 この日の競落結果の中で特に目を引いたのが、築浅ワンルームマンションの高い競落水準である。この日、東横線「学芸大学」駅徒歩約5分に立地する築7年弱の鉄筋コンクリート造3階建てマンションの14部屋が開札になり、全て落札された。その中で3階部分、専有面積約8.5坪の部屋の売却基準価額は662万円であったが、競落価格はその3倍を超える1,992万円であった。しかも滞納管理費等が30万円程度あるので、取得コストは優に2,000万円を超える。加えて、占有していた転借人が退去したようなので、収益目的であれば、賃貸募集に係わるコストも別途考慮しなければならないだろう。

 ちなみに競落したのが、再販業者であることから、一般投資家に2,400万円を超える価格での売却も予想される。

 ここで、この部屋の収益を考えてみると、賃料を月額10万円として、管理費等と固定資産税を控除した実質収入は年100万円程度である。

 この収益から利回りを見ると競落会社の原価ベースで年5%弱であり、一般投資家の想定購入価格ベースでは年4%程度になってしまう。かなり利回りが低下している感じがする。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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