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東京競売ウォッチ

2016年7月26日

第332回 葛西の共同住宅1棟物件

 7月7日開札では、対象物件が28件とかなり少なく、物件減少に歯止めはかかっていない。とくに1棟の収益物件などは、数えるほどしか見かけられない。

 そんな中、この日は大きな共同住宅の1棟物件が対象になった。その物件は東京メトロ東西線「葛西」駅徒歩約7分に立地する。土地は南西側で幅員7mの公道に面した約200坪で、建物は築23年の鉄筋コンクリート造11階建て、延床面積は約830坪ある。1Rの部屋112部屋、その他1LDK、2LDK、そして集会室が付いた大きな3LDKが各1部屋、そして1階には駐車場といった構成になっている。

 この物件の土地の正面路線価は坪約98万円であるので、土地の相続税評価額は1億9,500万円程度になる。建物は検査済証未取得であるが、評価書上では2億4,400万円と評価されていて、土地建物合計で4億4,000万円程度の相続税評価額と見られる。その物件が売却基準価額3億8,264万円であったが、これに対し、入札27本があり、最高価10億2,500万円にて落札されていった。相続税評価額の2.3倍強である。

 ちなみにこの物件は、賃貸の権利を債権者が全体的に押さえる収益執行というものがなされている。この収益執行が行われると、どうしても空室率が高くなるため、現状は2割程度空いている。それでも10億超えの落札であった。もちろん、これは満室想定で得られそうな年間8,000万円以上の収益を見込んでの落札価格ではあろう。それにしても思い切った上乗せである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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