リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2012年4月17日

第132回 占有者の残置物処理

 年度の変わり目である3月から4月にかけては、開札が3週間ほどお休みになる。3月22日のあと次の開札4月12日である。

 この間、弊社によく相談される事柄を紹介したい。本日は占有者の残置物の処理の問題について記載したいと思う。

 先日の3月22日の開札でもあったが、3点セットの現況調査報告書に「所有者が空家の状態で占有」という物件がある。そして室内写真ではかなりの動産が写っていることがある。こういった物件の場合、競落したあとの処理はどのようにすべきであろうか。

 もし競落後、現地に赴き、電気、水道などの生活インフラが完全に停止しており、さらには施錠されていなかった場合などの状態では、占有者が占有放棄している、と考えて良いであろう。写真等で現況の記録をした上で、ゴミ等の無価値物は処分する。そして、そのほか動産は物件から出した上、占有者へ、引き取りの要請と、引き取りなき場合の処分につき、その物件の所在地宛に通知を書留等にて行う。その後1カ月間ほどの保管期間を経て、買受人が処分することになろう。この通知文は「宛所に尋ねあたらず」で返還されても、それはそれで後日の争いを防ぐために必要だろう(郵送物の転送を占有者が郵便局に申請している場合では届くこともありうる)。

 次に現況調査の段階で空家ではなく、所有者が居宅として占有していたところが、その後に引越してしまった場合である。

 こういった場合は、やはり調査の上、占有者への通知を先行し、その上で物件内に入るのが、原則になる。

 占有者への通知ができない場合は、引渡命令の申立を行うことも検討すべきところである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.