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東京競売ウォッチ

2010年1月18日

第24回 09年の東京地裁市場分析(上)

 今週と来週、本欄では09年の東京地裁本庁の競売市場を分析していきたい。

表1 期間入札
08年09年
対象物件1,9622,948
総入札10,99125,610
落札物件1,7712,589
売却率(%)90.387.8
表2 落札1物件当たりの入札本数
08年09年
上半期下半期上半期下半期
7.325.368.1411.72

 まず表1に記載のとおり09年の対象物件数は対前年(08年)比で50%を超える大幅増加となった。ただし、開札回数は27回で、09年全体で08年より1回多いだけだったが、そのうち1回の開札対象物件が100を超える開札日は上半期に集中し、下半期には物件数の増加ペースは鈍化した。

 また期間入札の売却率については、08年に続き09年も前年より減少し、下げ幅は2.5ポイントほどであった(表1参照)。

 ただし、この売却率は6月からは概ね90%を超えるようになり、11月、12月では平均95%に達しており、売れ行きは直近で回復の状況にある。また、表2を見てわかるように、競落の競争度合いはかなり上昇している。09年下半期における1落札物件への入札本数は12本に迫り、08年下半期の2倍を超えている。この数字は景気後退前の07年通年の数字(約11.3本)を上回る。競落競争は激化していると言えよう。

 また、競落会社の顔ぶれにも変化が生じた。08年まで長く競落件数1位であり、06年には98物件ものマンションを競落したオーディーエス社(オークラヤ住宅系)が19物件(08年は58物件)と、大幅に落札件数を落とした。それに代わって、08年から競落件数が急増したイーグランド社が55物件を落札してトップになった。また、かつて競落件数トップ独走していたアトリウム社も、09年は再び自己競落以外の競落件数を伸ばし始めた。そして、09年は競売市場に新規参入の会社が増加したのも、その特徴の一つである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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