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東京競売ウォッチ

2021年5月25日

第553回 郊外中古戸建需要堅調か!!

 東京地裁の開札対象物件の減少で中古戸建の競落傾向が把握できないところがあり、戸建の競落事例を千葉地裁松戸支部4月22日開札に探した。そこでは東京には見られない高上乗せ率の競落事例があった。

 それは東武野田線「梅郷」駅から約1.2㎞の位置に存する1戸建である。土地は南西側で幅員4mの公道に面する42坪強で、これに築19年の木造2階建てが建っている。延床面積が36坪弱の4LDK+納戸で所有者はすでに退去し空き家状態にある。

 この物件の売却基準価額は546万円であったが、これに対し41本の入札があり、最高価1560万円弱で再販業者と思われる会社が競落していった。売却基準価額の3倍近い価格である。

 このように郊外の1戸建について強気の入札が散見される。先の居戸建てについては正面路線価が1㎡当たり4.7万円で、相続税評価額総額は約670万円であるが、仮に建物価格(評価)を700万円として、競落価格の土地分は860万円になり、相続税評価額の約1.3倍相当である。

 そう考えると競落価格は積算価格において市場価格に近い。競落会社は再販では2000万円超を予定すると考えられるが、販売可能と判断したのだろう。低利の住宅ローンが販売を下支えするのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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