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東京競売ウォッチ

2021年7月13日

第560回 オーナーチエンジマンションも高落札!!

 ファミリーマンションで最先の賃借権者が占有しているものは通常入札価格は抑制的になる。やはり再販は空室でリフォームした上実需向きに行うのが利益確保に繋がろう。しかし再販業者も物件不足から賃借人付のマンションも仕入れることが増加していると聞く。前では専有面積坪単価200万円程度で取引されていた。しかし、今回の競落価格は滞納管理費等(約70万円)などを考慮すると、総取得コストが専有面積坪単価で300万円近い。市場に再販されるときには専有面積坪単価330万円、1㎡あたり100万円程度にはなるだろう。相場はかなり切り上がっていることを実感する。

 6月23日開札では都営三田線「白山」駅徒歩約1分に立地する築35年のマンションであった。専有面積14.4坪で間取りが2DKであるこの部屋には最先の賃借権者がいる。月額賃料13万円で年間156万円、管理費等、固定資産税等を差し引いたネット収入は約130万円である。

 この物件の売却基準価額は1867万円であったが、これに対し入札29本があり、最高価3333万円にて競落されていった。この競落価格であると、ネット利回りは年3.9%となる。このマンションが仮に空室であれば専有面積坪単価300万円程度は見込める。となれば売値4300万円であるので、賃借権者が退去すれば、内装費を考慮しても再販利益は十分得られそうだ。

 従って競落者としては占有者退に仮に家賃1年分程度の明渡費用を呈示して明渡交渉することも考えられる。しかしこれもあくまで任意であるから交渉成立は読めない。こういった物件を取り扱うにはキャッシュか長期ローンでの購入が必要だろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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