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東京競売ウォッチ

2018年1月16日

第398回 今年も破格の入札が続くか?

 2017年の東京地裁本庁は7年連続での対象物件数の減少で、落札チャンスも低くなった。さらに破格の競落水準も散見された。

 2017年最後の開札では、JR常磐線「金町」駅徒歩約3分のファミリーマンションに入札50本が集まり一番人気となった。このマンション築16年が経過した、専有面積約22坪の3LDKの部屋であった。14階建の12階部分で南面にリビングと他2室を配する良い間取りではあったが、売却基準価額2352万円に対する最高価4555万円強はかなり高水準に見える。成約事例からして流通する価格はおそらく専有坪単価で220万円、4800万円ぐらいが上限だろう。不動産会社の落札であったが、決まった個人需要者が背景にあっての入札である可能性がある。

 また、この日は都営新宿線「大島」駅徒歩約2分に立地するマンションの1階区分店舗が、売却基準価額4032万円に対し、その約4.4倍に相当する1億7900万円で競落された事例(入札本数は28本)があった。大手イタリアンレストランチェーン、サイゼリアが最先の賃借人として占有している。年賃料が約1650万円であることで、このような競落になったと思われるが、こちらも金町のマンション以上に破格の競落に思える。2018年もこの勢いは続くのであろうか。

 次週は競売市場の分析を掲載させて頂きたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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