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東京競売ウォッチ

2017年9月12日

第383回 建替えで化けるに賭ける

 8月3日開札で、JR山手線「代々木」駅徒歩約5分に立地する築45年の古いマンションが次順位申込者無しの高値で競落された。このマンション、立地は一等地であるが、その敷地に問題がある。それは、接道条件についてである。このマンションの敷地は直接面しているのは北側で幅員4m前後の42条2項の私道のみである。

 実は西側で、明治通りに面しているように建っているが、その間にマンションの区分所有者が所有していない小さな土地が2筆ある。(別法人所有)将来の建替えにあたっては、この小さな土地をマンション敷地として取り込まねば、大幅に容積率低下などが起こる。

 都心の古いマンションにこのような接道条件などで、権利関係が複雑なものがある。さて、対象物件の部屋は1DKで、専有面積約9坪であり、売却基準価額は1131万円であった。これに対し入札が10本あり、最高価2000万円で不動産会社が競落していった。

 このマンションはちなみに耐震診断は実施していない。おそらくは実施すれば、耐震基準は満たせず、補強あるいは建替えが必要となるであろう。もし明治通りに面するべき先の小さな土地を敷地参入できれば、建替えにあたりボーナス容積が期待でき、キャピタルゲインのチャンスが到来するかもしれない。都心の古いマンションにはこういった建替えで化ける可能性があるマンションがある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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