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東京競売ウォッチ

2015年12月8日

第302回 強含みの都内一戸建て価格

 新聞紙上では、都内中古マンションの値上がりについて報じられることが多くなった。しかし一戸建ての相場については、それに比すると報道が少ないように思う。中古マンションは投資や節税目的として購入されることがあるが、一戸建てはあくまで実需中心である。それ故に土地相場を見るうえで、一戸建てのマーケットを注視したいところである。

 11月19日の開札では、1番人気が東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ヶ谷」駅徒歩約5分に立地する一戸建てであった。

 その物件の敷地は西側で幅員3.8mの私道(2項)道路に面し、南側では幅員6mの遊歩道に面している。南側の遊歩道は自動車が入れず、子供の遊具などが設置されているスペースだが、それだけに静かで陽当たり良好な宅地と言える。土地の面積は約23坪で、建物は築11年の木造2階建て、延床面積約27坪である。

 こういった内容で売却基準価額は2,921万円で、これに対し入札は43本あり、最高価5,400万円にて再販業者が落札していった。さて、この落札価格、建物の評価額を約1,000万円と考えると、土地が1坪あたり190万円強に相当する。相続税路線価格が1坪約120万円であるので、落札価格はその1.6倍弱にあたる。

 このあと再販時にはマージンが上乗せされたところで、1坪230万円程度で売買されると思われる。これは相続税評価額の2倍近い水準になるわけで、やはり、中古マンションだけではなく、都内で立地の良い一戸建ても価格は現状強含みのようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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