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東京競売ウォッチ

2013年3月26日

第174回 旧耐震基準の建築物件

 3月5日開札についても引き続き大量入札物件が多く見られ、活況であった。

 そんな中、マンションのうち旧耐震基準の建築物件に対し、2ケタの応札があり、個人が落札していったものがあり、目を引かれた。

 その物件は都営地下鉄三田線「西台」駅徒歩約7分に立地する、専有面積約7坪の1kの部屋である。1974年築の旧耐震基準のこの物件の売却基準価額は279万円で、これに対し、10本の入札があり、最高価362万円にて個人が落札していった。

 この物件は賃貸中で、賃料は月額5.3万円、管理費等及び固定資産税等を控除した実質年収は、約50万円になる。滞納管理費が10万円程度であるところから、落札価格+10万円を取得原価として考えれば、実質年利回り15%の水準になる。

 昨今テレビ報道等で地震対策等について取り上げられることも多い。そこでよく話題になるのが、建物が1981年6月施行の新耐震基準適用で建設されたものか、否かである。そして市場では、旧耐震基準適用マンションが購入を敬遠されやすくなっている。

 しかし、本物件のように自住用ではなく、あくまで賃料収益目的の購入である場合は違うように思う。高利回りが確保できる場合はなおさらであるが、さらに総額が低ければ、個人の現金買いニーズが出てくる。先の競落事例がそれを裏付けているように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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