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東京競売ウォッチ

2014年10月14日

第250回 投資用ワンルームの価格動向

 新聞報道では、首都圏の中古マンションの値上がり傾向が報道されているが、これは主に自住用のファミリーマンションのことである。新築マンションの立地の制約や、価格の上昇がその背景にある。

 ところで、マンションの中でも収益目的の投資用ワンルームマンションの価格動向はどうだろうか。9月25日開札でも、ワンルームマンションが複数対象であった。築浅物件が高い上乗せ率で競落され、利回りの低下が顕著である。しかし、注目は昨今賃貸市場では不人気の3点ユニットバス付の狭小ワンルームにも応札が多くなっていることである。3点ユニットバス付ワンルームマンションは、およそ昭和の終わりから平成初期までの建設物件が多く、比較的古く専有面積も小さい。

 この日の開札でも、この3点ユニットバスタイプである、西武池袋線「練馬」徒歩約8分のワンルームマンションが対象であった。築27年を経過するこの部屋、専有面積は約4坪で空き家状態。売却基準価額は350万円であった。これに対し入札16本が入り、最高価655万円で不動産会社が落札していった。ちなみに、この部屋は狭いこともあり、賃料は月額4万円強と見られ、管理費や税金を控除すれば実質収入は年40万円ほどであろう。そうすると、実質年利回りはこの競落価格ベースで6%強であり、1年前に比して期待利回りは2%程度下がって(競落価格は3割程度上がって)いる感覚だ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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