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東京競売ウォッチ

2011年9月27日

第108回販売好調な都内の戸建て

 震災後、タワーマンションや液状化が懸念される湾岸部の土地などが敬遠される一方で、都内内陸部の物件、とくに一戸建てに対する人気は高くなっているようだ。建売業者は販売好調を背景に、用地仕入れに力を入れている。

 しかし、あまり都心から離れた立地では、販売好調とはいえ、事業化は難しい。したがって、なかなかまとまった戸建分譲用地は戸建事業者各社の仕入れが容易ではない。

 そんな中、9月15日開札で、東急大井町線「尾山台」駅徒歩約5分に立地する約260坪の土地(古家付)が対象になった。

 南東側で約6.2m、北東側で約5.4mの各幅員の公道に面する整形地である。土地上には昭和初期からの古く、また延床面積100坪近い古家が建っている。角地ということもあって戸建分譲用地としては最適な土地と言えよう。

 この物件の売却基準価額は3億4,328万円であったが、これに対し、入札23本が入り、最高価4億9,100万円にて業者が落札していった。この競落水準は1坪あたり190万円に近い水準である。

 ちなみに、この土地の正面路線価は約170万円であるので、路線価を10%強上回る水準である。戸建分譲であれば、開発行為となり、道路整備などを要するため、販売可能土地面積については、1坪250万円程度の原価となろう。

 かなり高い水準に思えるが、都内戸建市場の好調さを反映しての競落結果なのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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