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2025年07月22日

第753回 テナントの学習塾が競落

 7月9日開札では、総武線「小岩」駅徒歩約6分に立地する学習塾の店舗が競売になった。商店街通りに面し、土地は約30坪で建物は鉄骨3階建で延床面積は約72坪である。築後約37年経過しているが、建設当初から塾として建設されている。

 この物件の売却基準価額は3824万円で、これに対しこの日一番の大量入札51本が集まり、最高価9200万円にて、この塾の経営権譲渡を受けたと思われる会社が競落していった。

 この塾は隣地とともに一体として塾が営まれていることから塾経営継続のため、かなり高目の入札価格を設定したようだ。強気の入札の背景にはこれまで少なくとも塾として成り立っていたことがあるように思う。多くの入札者は、競落後は塾経営者に賃貸をすることを前提に考えたのではないだろうか。この競落で無事に塾経営は継続されるように思う。

 ところで入札者が多かった理由の一つに総武線「小岩」駅の南口では大規模な再開発が進んでいて、これに伴い商業施設の他にマンション建設などがあり、街の発展とともに就学児童の増加も見込まれそうである。そんなことも人気を呼んだ理由ではなかろうか。競落した会社も塾経営継続の実現もあるが将来の資産形成にも良いと思っての取得であったのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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