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東京競売ウォッチ

2011年12月6日

第116回 築26年の木造アパート

 11月8日開札も前回開札に続き、100%競落と好調であったが、この日の1番人気は、木造のアパートであった。

 その物件は京成金町線「柴又」駅徒歩約7分に立地している。土地が道路敷を除き、正味で約42坪である。その上に築26年が経過した木造の2階建てで、延約39坪のアパートが建っている。

 アパートは1Kタイプ6戸からなり、不動産会社に一括貸ししている。そして、その不動産会社がエンドユーザーにサブリースしていて、オーナーの月額受取賃料は23万円強で、年額280万円弱である。

 この物件の売却基準価額は1,373万円であったが、それに対し42本の入札があり、最高価2,855万円にて不動産会社に競落されていった。

 表面利回り10%未満での競落であり、築26年の木造と、耐用年数が経過したアパートにしては高い水準の競落に感じた。

 しかし、このアパートは土地が公道・私道の角地で、敷地面積が約42坪と、建物の大きさに比して広く、土地の路線価による相続税評価額は2,900万円を超える(1坪約70万円の路線価額)。

 おそらく競落した不動産会社は、賃料収益とは別に、更地化して建売用地等とした場合の採算性も検討した上で入札価格を決定したのではないだろうか。賃料収益を目的として競落を考えた個人投資家も多く入札したものと考えられるが、別の観点から入札数字をはじいた不動産会社の入札金額には届かなかったようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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