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東京競売ウォッチ

2011年2月21日

第79回宗教法人占有のマンション

 2月8日開札では、ちょっと珍しい物件が開札になり、目を引いた。

 それは東京メトロ千代田線「北千住」駅徒歩8分に立地する築18年のマンションの2階と3階部分である。各階分離されて競売に付されており、それぞれの専有面積は2階が約66坪で、3階が約86坪ある。

 この物件の特殊性は占有者が「宗教法人世界基督教統一神霊教会足立教会」と、宗教団体であることだ。そして、この教会は最先の賃借権者であり、買受人は当該賃借権を引き継がねばならない。

 この教会は約6年前からこの物件を賃借しており、支払賃料から管理費等を差し引いた物件所有者の実質年収は、2階が約734万円で、3階は約842万円である。この条件で売却基準価額が2階につき1,750万円、3階が4,967万円である。

 高利回りが期待できるとあってか、物件の特殊性にも関わらず、2階に4本、3階に3本の入札があった。結果、2階は個人が3,500万円、3階は法人が6,500万円にて落札していった。

 2階、3階それぞれ、滞納管理費などのコストを勘案した落札価格で利回り水準をみてみると、実質年利回りで2階が年約19%、3階は年約13%相当である。

 こういった特殊であっても、逆にそれだけに移転しにくいような安定的賃借人が占有する物件は、収益物件としてはかえって好都合という考えもあるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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