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東京競売ウォッチ

2023年02月7日

第636回 新大久保のプレミアか、高額落札

 1月18日日銀は政策決定会合で大幅金融緩和方針継続を決定した。これにより金利上昇が当面進みにくい状況ではある。しかし、企業物価は前年比10%超上昇と報道されインフレが当分続く様相である。インフレ高進となれば、お金より不動産などの現物が優位と考える向きも多くなる。ただ今後金利が上昇すればそれは不動産価格にとっては下落要因ではあるので、不動産相場の行方を占うのは難しい。ただ不動産の場合希少性が高いことや収益性が高くなる見込みがあるものは、価格上昇の可能性が高いように思う。

 2023年最初の開札は1月18日であったが、100%の落札率で昨年に引き続き活況であった。その中でこの日一番人気であったJR山手線「新大久保」駅徒歩約5分に立地する1戸建てが極めて高い落札水準なのに驚かされた。その物件は土地が約14坪で、その上に建つ居宅は築22年の木・鉄筋コンクリート造3階建てで間取りは4DK、延べ面積約22坪である。この物件の売却基準価額は2720万円であったが、これに対し33本の入札があり、最高価9120万円にて落札されていった。何と売却基準価額の約3.35倍の高上乗せ落札である。 /p>

 この物件は新大久保エリアで繁華性が高い「イケメン通り」から少し入った私道面にある。またこの物件は従前シェアハウスで運用されていたようで、収益性が高く、希少性がある立地ということであろう。今後もこういった物件への高額競落は続くように感じる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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