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東京競売ウォッチ

2017年9月19日

第384回 神楽坂ワンルーム表面利回り7%切で落札

 先週は、収益物件、特に1棟物の高騰を紹介した。しかし、一棟物に限らず好立地のワンルームマンションも高水準の競落が見られる。9月5日開札では、東京メトロ東西線「神楽坂」駅徒歩約5分に立地するワンルームマンションが売却基準価額の約2.3倍で競落されていった。

 この物件は築13年と比較的新しく、トイレ・バスも分離している間取りで、専有面積は約6.3坪である。11階建ての10階に位置し、眺望も良好である。この物件の売却基準価額は720万円で、そこに31本の入札が集まり、最高価1651万円にて競落されていった。

 この部屋の賃借人は抵当権設定前からの賃借権で買受人に対抗できる賃借人であるが、収益目的のワンルームマンションにあっては却って好都合である。賃料は月額88000円であるが、管理費、修繕積立金合計が月額約2万円、固定資産税等の負担は年額約47000円であるので、年の手取りは約77万円になる。競落価格は表面利回りでは約6.3%であるが、実質では約4.7%に低下してしまう。好立地とは言うものの競売市場では従来と比較し低い水準であろう。こういった築浅ワンルームの落札水準の上昇は対象物件が少ないこともその要因ではある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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