リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2019年3月12日

第453回 台東区ビル再入札もまた高値落札!!

 2月28日開札では東京メトロ銀座線「田原町」駅徒歩約1分の商業ビルが売却基準価額の約2.8倍で落札された。台東区の駅至近ビルで築年も14年弱であったが、この物件は昨年9月20日に一度落札されている。今回先の競落者の代金不納付に伴う再入札と見られる。

 この物件は土地が所有権と借地権の混合である。所有権部分は約43坪で、借地部分が約29坪、合計約72坪が敷地で、これに鉄骨造9階建で延床面積が約510坪の建物が建っている。用途は店舗、事務所と最上階はオーナー住戸になっている。この物件の売却基準価額は2億2080万円であったが、これに対し15本の入札があり、最高価6億3120万円にて落札された。

 この物件、昨年の競落価格は7億9830万円であったが、今回はその約2割ダウンでの競落であった。実はこの物件、借地部分について地主(お寺)の方から地代不払いによって借地権解除の訴訟が提起されていて、地主側勝訴で判決が確定している。

 よって競落者は事実上建物の一部解体は困難であろうから、借地権の再設定(設定対価の支払い)を為すものと考えられる。設定対価の額は地主との協議によるが、5000万円以上には少なくともなるだろう。昨年の競落者は地主との借地権設定協議が不調であったか、もしくは購入資金に充当予定の銀行等融資が不調であったことで、入札保証金(4416万円)を放棄し、購入を断念したのだろう。今度の競落者はそこのところは計算しての入札だったのだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber

コラム一覧

山田純男 東京競売ウォッチ

2024年05月14日



Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.