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東京競売ウォッチ

2016年8月9日

第334回 駒込駅4分の古屋付土地18坪

 競落ができる確率の低いこのごろであるが、種々事前調査を施しても、開札なされないことは多くある。その大きな理由が「取下」である。これは競売開札日の前日までに競売をまさに取下げることができる制度で、いわゆる任意売却成立によって行われる。このほかにも「取消」や「停止」といった任意売却以外の理由で開札が行われないこともあるが、そのほとんどが「取下」である。

 7月21日開札では23件もの取下物件があり、それは全体の約4分の1にまでなる。

 この日は開札日前日(20日)に取下げになった物件は2物件あったが、そのうちの1物件はJR中央線「千駄ヶ谷」駅徒歩約6分に立地する築約18年で3LDKのマンションである。これなどはおそらく数十本の入札があったと思われる。徒労がつきものの競売入札である。

 そんな中、この日の1番人気はJR山手線「駒込」駅から約4分に立地する、古屋付の土地であった。南西側で幅員12mの公道に面する18坪弱で、近隣商業地域に属する。この物件の売却基準価額は1,708万円であったが、これに対し41本の入札があり、最高価5,430万円にて落札されていった。この落札水準は相続税路線価の2倍を少し上回っているが、この土地は一部境界が不分明なところもあり、この点を考慮すると、さらに強気の入札に思える。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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