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東京競売ウォッチ

2010年2月1日

第27回 商業地の応札も活発化か 巣鴨41坪に14入札

 2010年最初の開札は1月19日であったが、この回の対象物件数は昨年の終わりと同じく、ピークに比べれば3割程度少ない。競落率も昨年の後半からと同じ高い水準である。

 この日の一番人気は相変わらずマンションで、東急池上線「戸越銀座」駅徒歩6分に位置する築5年強の築浅物件であった。専有面積約19坪の2LDKで、売却基準価額は1,400万円であった。これに対し入札は41本集まり、最高価4,682万円にて再販業者が落札していった。売却基準価額の3倍を優に超える落札価格に驚かされた。

 この日、このほかでも売却基準価額の2倍超での落札マンションが4物件ほどあり、条件の良いマンションを落札するには大胆な入札価格設定を必要とする。それに比べ土地付建物においては売却基準価額の2倍の落札はまずない。ただこの日、1物件だけそれがあった。

 その物件は山手線「巣鴨」駅徒歩5分に立地し、南東側で幅員4m、南西側で幅員4mの公道に面した角地で、約41坪の広さである。建物は老朽化した旅館兼居宅で、評価できない状況である。こういった内容でこの物件の売却基準価額は5,416万円で、これに対し入札14本が集まり、落札価格はその2倍強の1億886万円であった。

 この水準は路線価の1.6倍弱にあたる。条件の良い商業地には、応札が活発化し始めたのかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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