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東京競売ウォッチ

2013年6月25日

第186回 好調な中古マンション市場

 先日、大手不動産流通会社の決算内容が本紙で報じられたが、多くの会社が業績を伸ばしている。これを見ても、一般の中古マンション市場が好調であることがわかる。今の課題は売却物件の確保であろう。

 そんな中、競売市場での中古マンションへの入札価格がかなり高水準になっている。5月30日開札では、競落マンション57物件中、8物件が売却基準価額の2倍超の落札価格であった。

 8物件のうち5物件は専有面積30㎡満の収益目的のマンションであり、残る3物件が住宅ローン対象のファミリーマンションである。

 8物件中、1番上乗せが大きかった物件は、収益目的の1Kの部屋であった。京王井の頭線「下北沢」駅徒歩約5分に立地するそのマンションは築8.5年で、専有面積約6.5坪である。

 現状月額8.8万円にて賃貸中で、管理費、修繕積立金、固定資産税等の負担を控除したネット収入は約88万円である。これに対し、売却基準価額は730万円であったが、競落価格はその約2.4倍の1,730万円であった。

 この物件には、40万円弱の滞納管理費が存するので、取得総費用は1,800万円程度となる。したがって、競落価格ベースで利回りは年5%弱ということになる。この利回り水準は新築の投資用マンションとほぼ同等ともいうべきレベルに思える。

 またファミリーマンションでは、東武東上線「北池袋」駅至近にある、専有面積21坪強の3LDKのマンションが売却基準価額1,474万円に対し、その2.14倍であ3,157万円にて競落されていった。さらに、このマンションには現在160万円を超える滞納管理費があるので、実際はもっと高い上乗せともいえる。

 いずれにしろ好立地マンション、とりわけ築浅物件競落には思い切った入札価格の設定が必要な状況である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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