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東京競売ウォッチ

2017年6月6日

第371回 白金高輪借地権マンションが売却基準価額の4倍にて落札

 先週の本欄で旧耐震基準のマンションが、売却基準価額の5倍弱という高値で落札されたことを紹介した。

 さらに今週紹介するのは、借地権付マンションであり、且つ管理状況が著しく劣る物件であるのにもかかわらず、高上乗せ率で落札された例である。

 その物件は4月25日開札で、東京メトロ南北線「白金高輪」駅徒歩約11分に立地する、専有面積6坪弱のワンルームマンションである。築26年を経過したこのマンションの敷地利用権は賃借権である。地主はお寺で、売買における譲渡承諾料(名義変更料)が予め設定されている。ちなみに本物件の譲渡承諾料は30万円となっている。予め決まっている分、入札者としては予算が立て易い。さらにこのマンションには約170万円の滞納管理費があり、これも取得コストとして考慮せねばならない。こういった条件で、この物件の売却基準価額は78万円であった。

 これに対し入札が14本あり、売却基準価額の4倍にあたる312万円で落札されていった。

 競落者としては、本マンションの取得総コストは約550万円であるが、これに内装の費用が付加されることになる。専有部分は荒廃しているので、使用にあたってはほぼフルリフォームを要するであろう。専有面積から推して200万円は必要ではなかろうか。となれば取得コストは750万円となる。立地の優位性を考えれば、これでも採算が合う取得なのであろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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