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東京競売ウォッチ

2023年08月08日

第661回 小笠原のアパートに二桁入札

 伊豆七島、小笠原諸島は周知のとおり東京都であり、東京地裁本庁の管轄である。これまで八丈島のリゾート開発地などが、バブル崩壊に伴って競売に付されるケースが散見されてきた。7月26日開札では、小笠原村父島の2事件(1戸建が1事件で、それに接するアパート・事務所等2棟で1事件の計2事件)が対象になった。

 1戸建の方は敷地58.5坪に築26年の木造平家建の床面積約37坪で、売却基準価額797万円に対し入札11本が集まり最高価2350万円で落札。もう一つは敷地約104坪とその上に延床面積約約41.5坪(事務所・倉庫)及び延床面積約約56坪(アパート2DK×1、1R×6)の2棟(それぞれ築26年の木造2階建)が建っていて売却基準価額は1399万円に対し同じく入札11本が集まり、最高価4550万円にて落札されていった。

 双方ともに売却基準価額の3倍前後の高上乗せ率落札に驚かされたが、加えて対象物件の貸室の賃料が東京並みであることも意外であった。

 小笠原諸島は2011年に世界遺産に登録されてから外国人を含めた観光客が増加し、宿泊や飲食業が盛んになってきていた。その中にあってコロナ禍で観光客は激減してしまったが、昨年から今年にかけアフターコロナにより回復傾向にある。小笠原諸島自体の人口は増加していないものの、観光客増加により宿泊、賃貸需要が増加すると見込まれることから多くの入札を集めたのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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