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東京競売ウォッチ

2025年12月02日

第770回 鵜の木の駅近戸建てが一番人気

 東京23区内で築20年以内のマンションの取引価格の平均専有面積坪単価は300万円を超えている。ただそのマンションの立地、特に駅からの距離による差違は大きい。大田区において築浅で駅近マンションであれば専有面積坪単価は400万円超もあるだろう。その専有面積が仮に30坪であれば総額1億2000万円ということである。

 そんな中東急多摩川線「鵜の木」駅徒歩約2分の好立地に所在する一戸建が開札対象となった。土地は16坪弱と狭小ではあるが指定容積率が300%であることで、接面道路(東側)の幅員が約4mであるものの総床面積は約31坪ある。構造は木造だが築12年で、十分再利用ができる物件であった。

 この一戸建ての売却基準価額は3550万円であったが、これに対しこの日一番の24本の入札があり、最高価6053万円にて競落されていった。木造ではあるがマンション的に専有面積坪単価で計算すれば200万円以下である。売却基準価額に対する上乗せ率は70%を超えてはいるが、この立地で考えると中古築浅マンションの2分の1レベルでの競落である。

 現在のマンションの相場が高すぎるのか、戸建ての相場が割安なのかは判断の難しいところではあるが、住宅価格における立地の重要性は明らかである。ちなみにこの日入札が無く特別売却に回ったのは足立区の最寄り駅から徒歩15分のマンションであった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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