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2022年6月21日

第606回 高島平のマンションが一番人気

 中古マンションの価格が強含みで推移しているが、これは1つに需給バランスにあるように思う。新築分譲マンションの供給は用地不足もあって湾岸エリアなど供給地もかなり限られていて、既存住宅地においての供給は限られている。一方で中古マンションも相場が堅調であることが背景にあるのか、所有者も売り急がず、そのため供給量が少ない状況にある。

 6月1日開札では都営三田線「高島平」駅徒歩約6分に立地する3LDKで専有面積約18坪のマンションが一番人気であった。築28年のこのマンションは、電気・ガスの供給が停止され空き室になっていることもあり、商品化は早そうだ。また滞納管理費等も30万円未満と多くは無い。そんな内容でこの物件の売却基準価額は1921万円であったが、これに対し入札が41本集まり、最高価3056万円にて不動産業者が落札していった。専有面積坪単価で約170万円のレベルであり、築年など考慮すると一般市場の相場とほぼ同水準に思われる。

 しかし、一般市場の在庫数がちょうど築20~30年の物件については同地域においてレインズ登録数など数物件であり、明らかに物件不足の感がある。ただし、この日、築32年で専有面積約20坪のマンションが入札僅か4本で売却基準価額への上乗せ率約15%程度で落札された。このマンションがさほどの人気を得なかったのは、その立地がJR常磐線「金町」駅徒歩16分と足の便が悪い物件であることからだろう。マンション人気も立地による差がこのところ大きくなっている感を強く感じる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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